第23回日本運動器看護学会学術集会

大会長挨拶

 当学会は、「運動器とは何か」「運動器看護の実践とは何か」を問いながら歩んでいます。また、この学会は、その前身が日本整形外科看護研究会であったことから、整形外科看護に携わっている方が多く、そして、一般病院で働いている方が多い学会です。一般病院では、広い知識を持ち、どの部署でも活躍できるようにジェネラリストを育成する目的で、3~5年で部署異動が余儀なくされる施設が多くあります。整形外科看護にやりがいを感じているのに異動か・・と思う方がいるかもしれません。
 しかし、運動器看護はどの分野でも必要な看護です。例えば、「歩く」ことを考えなければならない場面は多く、肝硬変、糖尿病、腎臓病、認知症などはサルコペニアの要因となります。サルコペニアが重症化することで、転倒・骨折、寝たきり、生活の質の低下、死亡リスクの増大等、問題が生じやすくなります。また、がん治療では、歩けるかどうかで治療方針が変わります。更に超高齢社会で、どこの病棟にも歩くことに不安を抱えている患者さんが多くいます。
 特に、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れるにあたって病棟再編成が行われ、更に多忙で煩雑な業務となってしまい、歩行の援助が必須ではなくプラスαのケアとなっていないか危惧されます。
 2022年に開催された第22回学術集会も、整形外科疾患にとらわれず、どの部署でもそれぞれの持ち場で力を発揮してという内容でした。第23回も運動器看護はどこでも必要な看護で、その中の1つ「歩く」に焦点をあて、テーマを「“歩ける”を支える運動器看護」としました。この学術集会を通じて、運動器看護に携わっている方々が、今まで培ってきた知識や技術を大切にして、どの部署にいても、自分たちが中心となって「歩く」ことを積極的に考えていただける機会になることを切に願っております。
 第23回学術集会は、2023年6月11日(日曜日)にライブ配信を致します。Web上ではありますが、皆さまとの意見を共有したいと思っております。また、事前オンデマンド配信は、6月1日~6月11日、事後オンデマンド配信は、6月19日~6月30日と長期間視聴できるようにしております。
 皆さまのご参加をお待ちしています。

 尚、新型コロナウイルス感染症の収束には、まだ時間が必要なようで、対応に日々ご尽力されている医療現場・教育現場・地域でご活躍されている皆様に敬意と感謝の意を表します。

第23回日本運動器看護学会学術集会 大会長
高橋 郁子(埼玉県済生会川口総合病院)